Locus of Life


私たちの心の中には、「誰かとつながりたい」という強い欲求と、「傷つきたくない」という防衛本能が同時に存在しています。この二つの気持ちがせめぎ合うことで、私たちは人間関係を築いていきます。
あなたは、自分の感情が行ったり来たりしてしまい、人との距離の取り方に戸惑いを感じることはありませんか?それは「混乱型愛着スタイル」と呼ばれる愛着スタイルに関係しているかもしれません。
混乱型愛着スタイルとは?
愛着スタイルには さまざまなタイプがありますが、その中でも「混乱型愛着スタイル」(Disorganized Attachment Style)は、この相反する感情が入り混じり、非常に複雑で揺れ動く感情を抱えるタイプです。
混乱型愛着スタイルは、多くの場合、幼少期の不安定な環境やトラウマ体験が背景にあります。例えば、親や身近な大人が感情的に不安定であったり、愛情が一貫していなかったり、暴力や拒絶、裏切りを経験した場合、無意識に「愛は恐怖や危険を伴うものだ」という認識が形成されます。
その結果、愛することへの強い欲求と同時に、それを恐れる気持ちが混在し、感情や行動が矛盾しやすくなるのです。混乱型愛着スタイルを持つ人は、相手に深く関わりたい一方で、過去のトラウマや不安から人との距離の取り方に戸惑いを感じ、葛藤を抱えています。そのため、愛情を求めながらも強い恐れや不信感を持つことが多く見られます。
混乱型愛着スタイルの特徴と行動パターン
混乱型愛着スタイルの方は、特に以下のような特徴が見られます。
親密な関係の中で感情が突然激しく揺れ動く
矛盾した行動を取りやすい(例えば、心から相手に近づきたいと思いながらも、恐怖から急に距離を置いてしまう)
愛情表現と拒絶が入り混じることがある
自己肯定感が不安定で、相手の言動を過剰に解釈 してしまう
自分の気持ちを言葉にするのが苦手で、内面の混乱を表現するのが難しい
対人関係で混乱しやすく、相手を振り回してしまうことがある
これらは本人が意図的に行っているものではなく、幼少期の不安定な愛着関係の中で無意識に身につけた「心を守るための反応」と言えるでしょう。
混乱型の特徴が表れた具体例
私の知り合いには、幼少期に母親からの厳しい言葉や身体的な虐待を受けた方がいます。彼女は現在、パートナーと子どもたちと幸せな家庭を築きたいと強く願う一方で、時折「一人でいる方が楽だ」と感じる瞬間があり、その感情の揺れがパートナーとの関係に大きな影響を及ぼしています。
また、私の元夫にも混乱型の傾向が見られました。彼は幼い頃、母親から叩かれるなどの虐待を受けて育ちました。さらに、母親は彼を必要とする時だけ愛情を見せ、それ以外は突き放すような態度を取っていたそうです。
結婚当初、一緒に旅行に行った際、それぞれの親にお土産を買いました。彼は普段「両親のことは大嫌い」「関係ない」と口にしていたのに、旅行中はずっと「ちゃんとお土産は買った?足りてるかな?」と気にしていたのです。
私は当時、その姿に戸惑いを覚えました。「嫌っているはずの両親のことを、なぜこんなに気にかけるんだろう」と。でも後になって気づきました。彼の中には、「本当はちゃんと愛されたい」「認められたい」という深い願いが残っていたのだと。
こうした相反する感情の共存こそが、混乱型愛着スタイルの特徴です。
混乱型愛着スタイルの人と関わるときのポイント
混乱型の人は、自分の気持ちをうまくコントロールできず、戸惑っていることが多いため、周囲もどう接してよいか迷うことがあります。ですが、焦らずゆっくりと信頼関係を築くことが大切です。
無理に「話して」と迫らず、彼らのペースを尊重する
矛盾した言動があっても否定せず、受け止める姿勢を持つ
安心できる環境を整え、本人が安心して感情を表現できるようサポートする
必要に応じて専門家の支援を検討する
彼らの態度や言動が理解しづらくても、その背景には「愛されたいけど傷つきたくない」という切実な思いがあることを忘れてはなりません。
最後に
混乱型愛着スタイルは非常に繊細で複雑ですが、理解を深めることで本人も周囲も心の負担を軽くできます。
もし「自分かもしれない」と感じたら、無理せず自分の気持ちに優しく寄り添いましょう。心の傷と向き合う勇気が、より良い人間関係や自分らしい生き方への一歩となります。
心の回復のために──"Locus of Life"でできること
混乱型のパターンに気づいても、一人で向き合うのは簡単ではありません。Locus of Lifeでは、愛着スタイルについて理解を深め、自分自身との関係をやさしく再構築するサポートを行っています。
「どうしたらいいか 分からない」そんな気持ちをそのまま持ってきてください。安心できる土台を一緒に築いていきましょう。