Locus of Life


海外に住むようになってから、日常の中でイライラすることが増えたり、その国の悪いところばかり目についてしまう、そんな経験はありませんか?私自身もイギリスに移住してから20年以上、怒りの感情に支配される日々を過ごしていました。気づけば、口から出るのは文句ばかりで、全然幸せではありませんでした。「どうしてこんなに腹が立つのだろう?」と自分に問いかけても、その答えは簡単には見つかりませんでした。
その後カウンセリングを学ぶ中で、「怒りは二次的感情である」という考え方を知りました。この言葉は、私にとって目から鱗が落ちるような発見でした。二次的感情とは、表面的に現れる感情のことで、その奥には一次的感情と呼ばれる、もっと根本的で本来の感情が隠れています。怒りは、実際には心の中で何かが傷ついていたり、満たされていないニーズがあることを知らせるサインなのです。
たとえば、自分の気持ちが理解されなかったり、期待が裏切られたりし たとき、人は深いところで悲しみや孤独感を抱きます。しかし、それを自分自身で認めるのはとてもつらいことなので、表面に出てくるのは「怒り」という形になるのです。また、将来への不安や、自分の力ではどうにもできない状況に直面したときに感じる無力感も、怒りとして現れることがあります。さらに、自分が受け入れられていないと感じたり、尊重されていないと思うときには、傷ついた心を守るために怒りという感情が前面に出るのです。
怒りは決して悪いものではなく、自分の心が「何かに気づいて」と訴えかけているサインだと言えます。ただ、その裏にある感情を理解せずに、怒りだけを外に向けてしまったり、逆に自分の中に押し込めてしまうと、ストレスが積み重なり、結果的に心や体の健康を損なってしまうこともあります。
私が変わるきっかけとなったのは、怒りの奥に隠れた感情に向き合い、自分自身を受け入れるというプロセスでした。完璧ではない自分や、異国の地で苦しむ自分を否定せず、「それでもいいんだ」と認めること。それは簡単なことではありませんでしたが、少しずつ自分の感情を理解し始めると、以前は見えなかった景色が見えてくるようになりました。イギリスでの生活の中にも、小さな幸せや良い面を 感じられるようになり、怒りに支配されることが減っていったのです。
怒りをただ抑え込むのではなく、その背後にある感情を探ること。それは、自分自身と深く向き合い、本当の気持ちを理解するための大切なステップです。同じように海外での生活や、日々の中で怒りに悩んでいる方がいれば、どうかその感情の奥に耳を傾けてみてください。もしかしたら、その先に新しい自分が見つかるかもしれません。
「自分自身を受け入れる」旅、一緒に始めてみませんか?