Locus of Life


安定型愛着スタイルとは?その定義と特徴
愛着スタイルの中で「安定型(secure attachment)」は、一般的に自分や他人に対する信頼感があり、感情のコントロールが比較的うまくできるタイプとされています。安定型の人は親密な関係を築きやすく、困難があっても立ち直る力が強いとされます。
こうしたスタイルは、多くの場合、幼少期の養育者との関係を通じて形成されます。たとえば、泣いたときにすぐにあやしてもらえたり、気持ちを受け止めてもらえたりといった「一貫した安心できる応答」の積み重ねが、自分は愛されているという信頼感、すなわち “安定した愛着” の土台になるのです。
テストで安定型と診断されたけれど…
私もいくつかのインターネットの愛着スタイル診断テストで「安定型」と出ました。ですが、実際の経験を振り返ると、いつもそう感じられるわけではありませんでした。恋愛や育児の場面で強い不安や自己肯定感の揺らぎを感じることがあり、「安定型=常に安定」とは言い切れないと感じたのです。
私の幼少期の「安定」
私の幼少期――高校に入るころまでは、まさに「安定型」だったと思います。思ったことははっきり口にし、自分のやりたいことを迷わず選び、他人の目を気にせずに自由に生きていました。
今思えば、それは少し “自分勝手”だったのかもしれません。でも、そのころの私は自分の世界の “クイーン”だったのです。プリンセスと呼ぶにはかわいらしすぎる。もっと自信に満ちた存在でした。
それだけ、小さい頃に両親からたっぷりと愛情を注いでもらっていたのだと思います。自分は愛されている、守られている――そんな安心感が、自然と自己肯定感につながっていたのでしょう。
あるとき自己肯定感が下がり、自分探しをしていた時期に、「私はいつ、もっとも自分らしく生きていたのか」と考えたことがありました。真っ先に思い浮かんだのが、あの幼少期の自分です。
もちろん、客室乗務員として働いていた時期も、自己肯定感はある程度保てていました。でも、上司に叱られたり、さまざまな経験を重ねるうちに、いつしかあの “絶対的な自信” は揺らいでいったように思います。
日本に帰国した際に、中学時代の同級生に再会する機会がありました。思い返せば、当時の私は本当に思うままに自分を出していて、わがままだったはずなのに、みんなは笑顔で受け入れてくれました。そして、こう言ってくれたのです。
「君は本当にエネルギッシュだったね」「元気でいつも笑顔、みんなの憧れの的だったよ」
その言葉を聞いたとき、私ははっとしました。人は、自分らしく、自分を偽らずにいられるときが、一番輝いている。あの頃の私は、まさにそうだったのだと。
「安定」と「不安」の共存
それが、私が自分の中にある愛着の揺らぎに気づいた瞬間でした。安定型とはいえ、私の中にもたしかに「不安」の側面があるのです。たとえば、ちょっとした一言に過敏に反応してしまったり、相手の態度に必要以上に意味を見出して不安になることがあります。そんな時、自分でも驚くほど自己肯定感が揺らぎ、「私は本当に大丈夫なのだろうか」と問い直したくなることがあります。
愛着スタイルというのは、決して一枚岩のように固定されたものではなく、環境や心理状態、人間関係のあり方によって揺れ動く、流動的で繊細なものなのだと私は感じています。たとえ「安定型」とされる人でも、その内側にはさまざまな感情の波が存在していて、それらと丁寧に向き合いながら、日々の人間関係を築いているのです。
安定型でも悩むことはある――誤解されやすい点
「安定型だから悩みが少ない」「人間関係で困らない」と思われがちですが、実際のところ、そんなに単純ではありません。確かに、比較的安定した人間関係を築きやすい傾向はあるかもしれませんが、それは不安や葛藤がないという意味ではないのです。
むしろ、安定型の人こそ、自分の中に生まれる微細な揺れや違和感を見過ごさず、立ち止まって向き合おうとすることがあります。自分の中に潜む「怖さ」や「過去からくる反応」に気づいたとき、それをどう扱うか、どう受け止めていくかに悩むのです。外からは「安定している」と見えても、その内側では深い自己対話が繰り返されていることもあります。
だからこそ、「安定型だから問題なし」という一面的な見方やラベルでは捉えきれないものがあるように感じます。どんな愛着スタイルにも、そしてどんな人にも、その人なりの葛藤や努力があることを、もっと丁寧に見つめていきたいと感じています。
本来の自分を取り戻すということ
これまでの経験を通じて、私は少しずつ、自分らしさを取り戻しつつあります。もちろん、幼少期のように自分勝手に振る舞うことはできませんし、もうしません。けれども――私が一番輝いていられる、自分らしくいられるのは、あの頃のようにエネルギッシュで、意思を強く持ち、元気でいられる時なのだと改めて実感したのです。
そして、そのことに気づいた時、私は思いました。これこそが、今の私なりの「安定型愛着スタイル」の在り方なのだ、と。幼少期の絶対的な安心感をベースにしながらも、揺らぎや不安を抱えた大人の自分が、それでもなお「自分らしくあること」を選び直す――その姿勢そのものが、私にとっての安定なのだと。
その時から私は、「他人がどう私を思おうと関係ない。それは他人のタスクであって、私のタスクではない」と、常に頭の隅に置いて行動するようになりました。すると、いろいろな面で人生が生きやすくなってきたのです。
もちろん、まだまだ心の中で解決しなければならない問題を私は抱えています。ですから、もろ手を挙げて「私は安定型です!」とは言えません。でも、それでも構わないと思えるようになってきました。
これは私が今まで自分を振り返りながら行ってきたひとつの方法です。人それぞれ、両親との関係や幼い頃の経験は異なります。ですから、みんなが同じ方法で愛着スタイルを見つめ直せるとは思っていません。それに、私がこのことに気づくまでには、何年もかかりました。
カウンセリングではよく、「本来の自分に戻ることは、玉ねぎの皮を一枚一枚めくっていくようなものだ」と言われます。今まで自分を守るためにまとってきた防御の鎧を一枚一枚脱ぎ捨てていくと、その中には本当の自分がいるのです。
私にとっての“安定型”とは、いつも揺るがない強さではなく、揺れながらも立ち上がる力なのかもしれません。
──それが、私なりの「安定型愛着スタイル」なのです。
ひとりで抱え込まないでください
自分ひとりで抱え込まず、誰かに寄り添ってもらうことで、自分らしさをより早く見つけられます。
Locus of Lifeは、あなたの愛着スタイルをあなたらしい形で変えていくお手伝いをさせていただきます。ぜひ一度、ご相談ください。