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"「不安型」の揺れに向き合う: 安定型の中にある、私の小さな不安たち”

Jul 11

5 min read

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安定の中にある小さな「不安」

前回のブログでもご紹介しましたが、私は基本的に「安定型」の愛着スタイルであると思っています。でも、そんな私の中にも、ふとした瞬間に顔を出す「不安型」の傾向があります。それは決して大きな嵐のようなものではなく、小さなさざ波のように、気づけばそっと心に広がっているようなものでした。

たとえば、人との関係の中で、ふと「私はちゃんと受け入れられているだろうか」「この人は私を見捨てないだろうか」と不安になることがあります。そして、そんな時には気づかぬうちに、相手の愛情を試すような言動をしてしまったり、自分を必要以上に責めてしまったりするのです。

このような感情の揺れは、私の中の「不安型」の傾向がひょっこり顔を出した瞬間の現れです。普段は安定しているものの、心の奥底にはそうした小さなさざ波が静かに広がっているのだと感じます。

だからこそ、自分の感情に気づき、優しく受け止めることが大切だと思っています。完璧に安定しているわけではないけれど、その不安もまた私の一部として共存しているのです。



息子のうつ状態が教えてくれたこと

最近、息子が急に元気を失い、学校に行けなくなりました。何を話しかけても言葉が返ってこない、視線も合わない、ベッドから起き上がるのもつらそうで…。最初は、ただ「心配」でいっぱいでした。

けれどその「心配」は次第に、「わたしのせいではないか」という不安に変わっていきました。「もっと早く気づくべきだったんじゃないか」「この子が苦しんでいるのは、私の育て方に問題があったのでは?」そんなふうに、自分を責める気持ちがふと頭をもたげてくるのです。

これはまさに、不安型愛着の「自責的」な部分。わたしの中のごく小さな「不安型」が顔を出していたのだと思います。

そんな不安の傾向は、今までの親としての私にも、確かに現れていたように思います。私は自分が母から育てられたやり方、「勉強しなさい」「部屋を片付けなさい」と命じるような関わり方を、気づかぬうちに息子にもしていました。息子の話を聞くというよりも、「ちゃんと育てなくちゃ」というプレッシャーに駆られ、私の中の「良き親でありたい不安」が先に立っていたのかもしれません。

さらに、私と息子は話す言語が違います。私は日本語、彼は英語がいちばんしっくりくる言語です。彼が英語で話すとき、私は常に集中していないと、言葉が耳をすり抜けてしまうことがありました。母国語ではない言語の壁、それは想像以上に、「聴くこと」や「理解すること」のハードルを高くしていました。

私は「ちゃんと聞いているつもり」でした。でも、どれだけ注意を向けていたとしても、私が聞き逃していた瞬間はきっとあって、彼はそのたびに「マミーは僕の話を聞いてくれていない」と感じていたのでしょう。もちろん、私にはそんなつもりはまったくありませんでした。でもあるとき、彼にそう言われた瞬間、胸の奥にチクリと痛みが走りました。

「話をちゃんと聞いてくれない」と息子に思わせてしまうなんて、私は母親として失格なのではないか、そんな不安が、ふいにこみあげてきました。そして次の瞬間には、「どうしたらもっとちゃんとできるのだろう」「どうすれば息子に私の愛を伝えられるのだろう」と、また自分を責めてしまう私がいました。

そのとき気づいたのです。これはまさに、私自身の中にある「不安型」の傾向だ、と。私は普段、安定していると思っていたけれど、大切な人との間で小さな行き違いが起きたときに、「息子に自分の愛がちゃんと伝わっていないのでは」、「十分じゃないのでは」と不安になり、自分を責めてしまう。その揺れは、私の中に確かにあるものなのだと、改めて感じました。



「ちゃんとしなきゃ」から「信じよう」への転換

その時、私は言葉の内容以上に、目の前の人の「気持ち」に触れようとする姿勢、そのあたたかさを、これからもっと大事にして、息子と関わっていこうと決めました。

ある日、息子への接し方を、自分の不安からではなく、「息子は大丈夫。信じよう。私も大丈夫、間違っていない」という視点に変えるようにしました。私の中にある「ちゃんと育てなくちゃ」という焦りや、「母親として失敗したくない」という不安から行動するのではなく、もっと信頼と安心を基盤にした態度で息子に向き合うよう努めました。

またそれに伴い、「思春期の男の子は母親と話したがらないものだ」という一般的なイメージ、そのステレオタイプも、私は手放しました。今、私がするべきことは、「母親として本気であなたと向き合っているよ」というメッセージを、言葉だけではなく、日々の態度で息子に伝えていくことなのだと気づいたのです。

その変化が影響したのか、息子の状態は少しずつ回復してきたように思います。もちろん、まだまだ油断はできません。でも私は今、心からこう思っています。「私は息子をとても愛している。息子がそれを安心して感じられるような母親であり続けよう」と。

今回の私の息子の心の不調は、私に大きな気づきと成長を与えてくれました。全ての出来事には必ず意味がある。これは私が大切にしている信念のひとつです。



私の中の「小さな不安」とともに歩む

今の私は、かつてほど不安に巻き込まれることはなくなりました。完全に消えたわけではありませんが、「あ、不安が来てるな」と気づける余裕ができた気がします。そして、それが現れても、「そんな私も私」と、責めることなく受け止められるようになってきました。

人と距離を取りたくなるとき、「愛されたい」という気持ちに戸惑うとき、自分の中にある「小さな不安」に耳を傾けること。それは、自分自身とつながる時間でもあります。そしてそれが、誰かとよりよくつながるための一歩にもなるのです。

このように、私の自分の中の小さな不安に寄り添いながら、息子と共に歩んでいます。



同じように揺れるあなたへ

読んでくださる方の中にも、似たような揺れや迷いを抱えている方がいらっしゃるかもしれません。そんな時はどうか、ひとりで抱え込まずに、自分の心の声に耳を澄ませてみてください。

そしてもし必要なら、専門のカウンセリングやサポートを利用することも、決して恥ずかしいことではありません。

Locus of Lifeでは、愛着の課題に寄り添いながら、あなたが自分らしく安心して生きられるようお手伝いしています。必要なときには、ぜひ扉をノックしてみてくださいね。


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