国際結婚のリアル (Part 3):イギリス生活と離婚裁判から学んだこと
- Locus of Life

- Oct 25
- 11 min read

海外での国際結婚や国際離婚を考えている方へ。イギリス人との結婚と離婚を経験した筆者が、親権問題、イギリスでの離婚裁判、ミラーオーダー(Mirror Order)、ハーグ条約、文化の違いなど、実体験に基づいて詳しくお伝えします。単なる体験談ではなく、海外生活や国際離婚で悩む方に向け、心理的にも参考になるヒントをまとめています。
本記事では、海外で家庭や子育てに関わる現実や、国際離婚に伴う心理的・文化的な課題を具体的に解説。海外生活中に起こりうる困難や、子どものためにできること、制度の活用法まで、実体験を通して知ることができます。
✅ 国際結婚・海外離婚を考えている方
✅ イギリスでの親権問題や離婚裁判の実態を知りたい方
✅ ミラーオーダーやハーグ条約について理解したい方
✅ 海外でシングルマザー/シングルファーザーとして生活する現実を知りたい方
✅ モラハラや心理的支配、調停のリアルを体験談として学びたい方
法律の専門家ではありませんが、筆者の実体験に基づき、海外での国際離婚や子育て、文化の違いにどう対応するかのヒントをお届けします。読者の皆さまがより安心して未来の選択を考える一助になれば幸いです。
※本記事は、特定の個人を非難・中傷する目的ではなく、国際結婚や国際離婚の現実を伝えるための体験記です。記載されている内容は、筆者が経験した出来事と感じた事実に基づく個人的な記録です。
イギリスでの離婚裁判・親権・ミラーオーダーから学んだこと
イギリスでの離婚裁判が始まった衝撃の現実
息子が生まれて数年がたった頃、私たちの結婚生活は予想もしなかった方向へ進みました。2016年、突然の離婚裁判の開始通知を受け取ったのです。それまで表面的には穏やかに見えていた関係は一変し、目の前の現実は私の想像を超えるものでした。
離婚手続きが進む最初の4か月間、彼は家に滞在し続けました。しかしその目的は家庭を保つためではなく、私に心理的圧力をかけるものでした。家の中には監視カメラ(CCTV)が設置され、私が感情的になると携帯で撮影されることもありました。今振り返ると、それは裁判を有利に進めるための証拠作りだったのだと分かります。
ある日の口論の末、私は羽交い締めにされ、腕にあざが残るほど強く押さえ込まれました。恐怖を感じた私は警察に通報し、彼は一時的に連行されました。しかしその後、彼は「自分の安全のため」という理由を主張して家を出ていきました。理解しがたい出来事でしたが、彼は後の裁判で自分が“被害者”であるかのように主張するため、この出来事を利用しました。
彼が家を離れた後も、私を追い詰めようとする行動は続きました。私が息子の事で彼に連絡するたびに「君の言っていることは emotional blackmail(感情的脅迫)だ」と責められ続け、私は誰かに常に監視されているような感覚に陥りました。不安と恐怖は日常に染み込み、心が休まる時間はほとんどありませんでした。
海外生活の経験はあったとはいえ、裁判で事実と異なる主張をされたり、虚偽の証言によって人を追い詰めようとする現実に直面したのは初めてでした。これは文化の違いという言葉では簡単に説明できない、人間関係の信頼が崩れていく苦しさそのものでした。
息子の親権争いとイギリス裁判での苦悩
最初の裁判は、息子の養育権をめぐるものでした。法律用語や裁判制度に関しては、私にとって初めての経験で、手探りの連続でした。息子にとって最善の環境を裁判所に正しく理解してもらうため、私はCAFCASS(Children and Family Court Advisory and Support Service:子供と家庭の裁判所相談支援サービス)の担当者と面談を行い、学校の校長先生にも私たちの状況を説明しました。さらに、息子が離婚の影響を少しでも受けないように、心理カウンセリングも受けさせました。すべてが私にとって初めての試みでした。
ミディエーション(裁判前の調停)の場では、文化や価値観の違いを強く感じました。私は「彼はあまり料理をしないので、彼の家での息子の食事が心配です」と述べましたが、ミディエーターからはこう返されました。
「週に数回あなたの息子がマクドナルドを食べたとして、何か問題ですか?」
この言葉をミディエーターから聞いたことは私にとって大きなショックでした。日本で育った私にとって、親は子どもの食事は栄養や健康を考えて与えることが当然でした。そのため、この一言は文化の違いを痛感させるものでした。
彼はフルタイムで働きながらも、息子の完全親権(フルカストディー)を求めました。しかし最終的に裁判では、私が息子のメインケアラー(主たる養育者)であることが認められ、日本への一時帰国も条件付きで許可されました。
ミラーオーダーとハーグ条約で直面した日本への帰国制限
しかし、問題はここで終わりませんでした。裁判中、彼は日本からの “ミラーオーダー”(Mirror Order)の取得を要求しました。ミラーオーダーとは、英国の裁判所で出された決定を日本でも正式に有効にするための手続きです。
私はハーグ条約(国際的な子の連れ去りに関する取り決め)について理解していたため、本来は必ずしも必要ないと考えていました。しかし弁護士からはこう言われました。
「完全に全てを拒否してしまうと、あなたが望む結果を得にくくなるかもしれません。譲歩も必要です。」
私は息子を日本の家族に会わせたい一心で、この条件を受け入れました。しかし結果として、このミラーオーダーの手続きのためにその後 1年間、日本への帰国が叶わない という事態になったのです。
私は英国の裁判所の命令を日本語に翻訳し、日本での弁護士の準備も整え、彼にも日本で弁護士を用意するよう依頼しました。必要であれば、彼に日本の弁護士を紹介することまで申し出ました。しかし彼は「お金がない」「忙しい」と言い、何も手続きを進めませんでした。その時になって初めて気づきました――これは、息子と私を日本に帰らせないための手段だったのだと。これが彼がミラーオーダーを要求した真の理由だったのだと。
私の年老いた両親も日本で孫である息子に会うことを今か今かと待っていました。ですから私はここであきらめるわけにはいきませんでした。
最終的に、私は往復航空券や提出書類を揃え、再び裁判所に出向き再度申し立てを行いました。そして最終の裁判所命令から1年後、裁判が始まってから3年後ようやく日本への一時帰国が許可されました。日本に到着した瞬間、涙が溢れ、安堵の気持ちで胸がいっぱいになりました。
財産分与・養育費等をめぐるイギリス裁判の現実
ファイナンシャル(財産分与や養育費等)に関する裁判でも、私は厳しい現実に直面しました。私がこれまで家庭を支えてきた事実や、彼の借金の一部を肩代わりしてきたことは、裁判ではほとんど考慮されませんでした。彼は「取れるだけ取ってやる」という態度で臨み、息子と私の今後の生活や安定には全く関心がないかのようでした。まるで、私を苦しめること自体が目的のように感じられました。
この過程で、私の心身は限界に近づきました。英語での法的手続き、異文化での国際離婚裁判、そして外国人としての立場の弱さ――こうした計り知れない不安やストレスに常に晒されながら、イギリスで裁判を続けることは非常に困難でした。
それでも、私が一貫して守ったのは、常に真実だけを語ることです。誇張せず、相手と同じ土俵に降りず、事実を裁判所に伝える。これだけは譲れない信念でした。この姿勢を貫くことで、きっと理解してくれる人は現れるはずという一縷の希望だけを胸に、私は一歩一歩裁判を乗り越えました。最終的には、裁判所は適切で公平な判断を下してくれました。
しかし、長く苦しい裁判の間、私はいつも「この先、息子と私の生活はどうなるのだろう」という恐怖にさいなまれていました。かつて幸せだった結婚生活が、なぜここまで悲しみに変わってしまったのか――その思いが胸を締め付けました。判決後も、心に残った傷や虚しさは、簡単には癒えるものではありませんでした。
国際結婚で感じた文化・価値観の違いと学び
この経験を通して、私は多くのことを学びました。何度も「なぜ私はイギリスに来たのだろう」と自問し、後悔する日もありました。しかし同時に、イギリスでの生活を経験したからこそ、改めて日本の良さや家族の温かさに気づくことができました。また、ここイギリスでも新しい友人や支えてくれる人々との出会いもあり、異国での生活でも人とのつながりが心を支えてくれることを実感しました。
国際結婚には、誰もが直面しうる現実的な課題があります。
文化の違い
言語の壁
家族観や価値観の相違
国際的な法制度の違い
国際結婚を選ぶと言うことは、こうした課題に直面する覚悟を持つことを意味します。違う文化、価値観を背景に持つ二人が共に生きるためには、単に愛情だけでは解決できない問題も確かに存在します。愛情だけではなく、相互理解、歩み寄り、柔軟さが不可欠であることも実感しました。また、国際離婚やイギリスでの裁判では、法制度や文化の差異が大きく影響することを身をもって体験しました。しかし、困難の中にも学びや成長の機会はあります。私はこの経験を通して、困難に立ち向かいながら自分を守り、未来を切り開く力を学びました。
もしこれから国際結婚を考えている方や、すでに国際結婚・国際離婚で悩んでいる方がいるなら、私のように夢だけで海外での生活を選ぶのではなく、現実に起こりうる課題やリスクを理解して準備することが重要です。国際結婚は確かに人生に新しい可能性をもたらしますが、同時に、時に厳しい現実と向き合う覚悟も必要なのです。
国際離婚から得た心理的学びと支えの大切さ
長く苦しい裁判を経験したことで、私はようやく自分自身と向き合うことができました。この経験がなければ、私は今のように心理的な学びを深めることはなかったと思います。
異国での生活や言葉の壁、文化の違いは想像以上に大きく、どんなに愛情があっても試練は避けられません。しかし同時に、支えてくれる家族や友人、そして信頼できる第三者の存在が、どれほど人を支え、立ち直らせてくれるのかも痛感しました。孤独の中で差し伸べられる一つの手、一つの言葉が、人生を支える大きな力になるのです。これは、国が違っても文化が違っても、全人類に共通する大切な気づきではないでしょうか。
イギリスでの裁判や調停を通しては、自分の意見をはっきり伝えることや、自己主張を通して問題を解決する力の重要性を学びました。一方で、日本の文化である人とのつながりの大切さを改めて実感しました。日本で育った私には、相手を尊重し、場の調和を大切にする価値観が心に深く根付いています。文化の違いを実感しながらも、それぞれの良さを理解することが、異文化で生きる上での大きな学びとなりました。
こうした経験を通して、私は国際結婚には誰もが直面しうる困難があることを身をもって理解しました。文化の違い、習慣の違い、言葉の壁…愛だけでは乗り越えられない課題も確かに存在します。しかし、困難の中にも学びや成長の機会はあります。人とのつながりや、支えてくれる存在のありがたさに気づき、異国でも自分を守りながら未来を切り開く力を学びました。
国際結婚・離婚のリアルな体験からのメッセージ
私はこのブログを彼を憎んで書いたわけではありません。ただ、真実を皆さまにお伝えし、国際結婚のリアルな現実や、予想以上に厳しい困難な状況も知っていただきたいと思って書きました。今の私があるのは、彼のおかげでもあります。このいばらの道は、今の私になるためには避けて通れなかった道だったのだと、今ではそう思えるようになりました。
過去を振り返りながら書くことで、私自身の中で救われた部分もあります。特に、パスポートを取り上げられた時の感情をまだ十分に消化していなかったことに気づき、思い切って自分の感情を書き出して向き合う作業を行いました。その過程で、たくさんの涙を流しましたが、それもまた自分を立て直す大切な一歩でした。
この3回にわたる連載を通して、国際結婚や海外生活、国際離婚に直面して悩んでいる方々に、私のリアルな体験をお伝えすることで、少しでも参考や勇気をお届けしたいと心から思っています。人生の選択や大切な決断の場面で、「こういうこともあり得る」という現実を知っていることは、後悔の少ない選択をするための大きな助けになるはずです。
今起きていることにはすべて意味があり、私たちの中に解決すべき問題があるからこそ起きているのだと思います。どんなに苦しくても、人は学び、成長し、再び自分らしい人生を歩むことができます。最後までこのブログを読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。
海外生活や国際結婚・離婚の悩みに寄り添う Locus of Life
私はこの経験を通して得た学びをもとに、Locus of Lifeを立ち上げました。ここでは、国際結婚や国際離婚、海外生活での悩み、愛着スタイルや人間関係の課題など、心に関わるテーマに寄り添うサポートを行っています。
もし今、海外生活や国際結婚・離婚、人間関係で迷いや不安を抱えいらっしゃるなら、Locus of Lifeでは、安心して自分の気持ちを整理し、前に進むためのサポートをご提供しています。
私自身の体験と学びをもとに、同じように悩む方の力になれることを心から願っています。


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