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ポジティブ思考の落とし穴:偽りの自信より大切な自己肯定感の育て方

Updated: Oct 16



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「ポジティブに考えよう」「前向きでいれば大丈夫」──こうした言葉は、日常生活の中でよく耳にします。SNSには「ポジティブシンキングこそ成功の秘訣」といった投稿が並び、自己啓発本でもポジティブ思考が盛んに推奨されています。


確かに、前向きな気持ちが人を支えることはあります。しかし一方で、「ポジティブでいなければならない」という思い込みは、人をかえって苦しめることも少なくありません。

私自身も「ポジティブの押し付け」の危うさを体験したひとりです。その経験を踏まえて、ここではポジティブ思考の危険性と、心の奥にあるインナーチャイルドを癒す大切さについてお話ししたいと思います。



「ポジティブでなければならない」という社会の空気

現代社会には、「ポジティブ=正しい」「ネガティブ=悪い」という二分法が広がっています。


例えば…

  • 失敗して落ち込んでいる時に「そんな暗い顔していたら運気が逃げるよ」と言われる


  • 悲しい出来事の後に「もっと前向きに考えようよ!」と励まされる


  • 弱音を吐いたら「ネガティブだね」と否定される


こうした言葉は一見、励ましや優しさのように思えます。けれど受け取る側にとっては「ポジティブになれない私はダメだ」「弱音を言う私は価値がない」と感じるきっかけになってしまいます。


結果として、私たちは本音を隠し、笑顔の仮面をかぶり、ますます孤独を抱えてしまうのです。



私が体験した「表面的なポジティブ」の押し付け

自己肯定感を高めたいと思い、私は数年前にイギリスでヒポノセラピーを受けました。当時の私は、「もっと自分に自信を持ちたい」という強い願いを抱えていました。


そこでカウンセラーに言われたのは、「自己肯定感を上げたければ、自信があるふりをすればいい」というアドバイスでした。


私はその場で反論できませんでしたが、心の奥では「そうじゃない」と強く感じていました。私が欲しかったのは、表面的な演技としての自信ではなく、内側から自然に湧き上がる自己信頼感だったからです。


さらにそのカウンセラーはこう続けました。「君は以前、客室乗務員としてお客様にサービスをしていたのだから、もともと自己肯定感があるはずだよ」


確かに、客室乗務員として働いていたとき、私は自信を持って笑顔でお客様に接していました。でもそれは職務上の役割として必要な自信であり、心の奥からの「ありのままの自分を受け入れている感覚」ではありませんでした。その言葉を聞いた私は、やはり違和感を覚えたのです。



翌朝の挑戦:偽りの自信で車を運転してみた結果

それでも私は「とにかく試してみよう」と思い、翌朝カウンセラーの言葉を実行してみることにしました。


車の運転が苦手な私は、「今日は自信があるふりをして運転してみよう」と決心したのです。そして実際に運転席に座り、堂々としたふりでラウンドアバウト(ロータリー)に進入しました。


結果はどうだったでしょうか。私は二度もクラクションを鳴らされ、ヒヤリとする場面に直面しました。幸い事故には至りませんでしたが、「もし事故を起こしていたら、自己肯定感どころか一気に崩れていた」と思うと冷や汗が止まりませんでした。


この経験を通して私は学びました。「自信があるふり」は危険なだけで、本当の自己信頼感にはつながらないということを。



インナーチャイルドを無視するとポジティブは続かない

なぜ「ふり」でポジティブになろうとしても長続きしないのか。その答えは、心の奥にいるインナーチャイルドにあります。


インナーチャイルドとは、幼い頃に感じた寂しさや不安、怒り、そして傷ついた体験を抱えたままの「心の中の小さな自分」です。たとえば、親に十分に認めてもらえなかった経験、友達との関係で孤独を感じた記憶、失敗を強く責められた体験─。これらは大人になっても無意識に心の中で生き続け、日常の小さな出来事に過敏に反応することがあります。

大人になって「ポジティブに生きよう」と努力しても、このインナーチャイルドが癒されていなければ、心はいつまでも不安定です。表面的に笑顔で過ごしていても、ちょっとした失敗や他人の言葉で、幼い自分の不安や恐れが顔を出してしまうのです。


ポジティブな言葉や行動で自分を奮い立たせることはできますが、それはあくまで一時的な応急処置、言わば「絆創膏」を貼るようなもの。本当の傷は見えない場所に残り、ちょっとしたきっかけでまた疼き始めます。たとえば、自己肯定感を高めるワークやアファメーションを試しても、心の奥で「私は本当に大丈夫なのだろうか?」という不安が繰り返し顔を出すことがあります。


このことから学べるのは、真のポジティブさは「無理に自分を元気に見せること」ではなく、「傷ついた自分をまず受け止めること」から始まるということです。インナーチャイルドの声に耳を傾け、その存在を認めてあげることが、自己肯定感や本物の自信を育む土台になるのです。



ネガティブな感情と自己肯定感

落ち込んだり不安を感じたりしたとき、私たちはつい「早く元気にならなきゃ」と思いがちです。しかし、無理に感情を消そうとしたり、ポジティブな自分を演じたりすることは、かえって心を疲れさせます。大切なのは、まず「今の自分はこう感じている」と素直に受け止めることです。


その感情を認める方法は意外とシンプルです。例えば、心の中で「今は不安でいっぱいなんだ」と言葉にしてみたり、紙に書き出したりするだけでも、心は少し軽くなります。また、信頼できる人に話すことで、孤独感や不安感が和らぎます。このとき重要なのは、答えを求めることではなく、ただ自分の感情を受け止めてもらう体験です。


こうした小さな行動の積み重ねは、自己肯定感の土台を少しずつ築いていきます。「泣いている自分」「怒っている自分」「不安を抱えている自分」──どんな自分も否定せず受け入れることが、本当の自己肯定感につながるのです。そして、この自己肯定感は、単に自分を守るだけでなく、他者との関係にも影響を与えます。自分のネガティブな感情を受け止められる人は、他者の感情にも自然と寄り添うことができ、信頼関係や共感力を育むことができます。


つまり、自己肯定感とは「完璧でいること」ではなく、「不安や弱さを抱えた自分も含めて、ありのままの自分を認められること」です。紙に書き出す、小さな声で話す、深呼吸して心の中を整理する。こうした習慣を続けることで、内側から自然に湧き上がる自己信頼感の土台を築くことができます。最初は小さな一歩でも、それを積み重ねることで、やがて自信のある「ふり」ではなく、本物の自己信頼感が芽生えてくるのです。


私自身、ヒポノセラピーで「自信があるふりをすればいい」と言われ、運転で試した経験から、表面的なポジティブでは意味がないことを痛感しました。本当に大切なのは、心の奥にあるインナーチャイルドを癒し、ネガティブな感情も大切なサインとして受け入れることです。



最後に


ポジティブであることは、人を元気づける力があります。しかし、「ポジティブでいなければならない」という思い込みは、逆に自分を追い詰めてしまいます。だからこそ、今日から少しずつで構いません。自分のネガティブな感情にも耳を傾け、ありのままの自分を認める時間を作ってみましょう。


泣いても、怒っても、不安を抱えても、それは決して「弱さ」ではありません。自分の心に正直でいることこそ、健やかな自己信頼感と本物の自己肯定感につながるのです。小さな一歩を積み重ねることで、やがて表面的な「自信のふり」ではなく、内側から自然に湧き上がる自己信頼感を育むことができます。



Locus of Lifeでは、一人ひとりが自分の感情と向き合い、心を整えるサポートを行っています。もし今、自分の心の整理や自己肯定感について少しでも相談したいと思ったら、どうぞ遠慮なくご連絡ください。




 
 
 

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